20260126の日記
僕は、内部監査の専門資格である「公認内部監査人(CIA)」を保有している。この資格試験には、必ずと言っていいほど出題される次のような問題がある。
【問題】 あなたは、ある組織の内部監査人である。監査中、対象組織の人物から「一般的な厚意のしるし」としてイベントのチケットを提示された。内部監査人が取るべき適切な行動はどれか?
- A.そのチケットの価値が1万円以内であれば、上長の承認を得たうえで受け取る
- B.ケットを受け取るが、自身の客観性が失われないよう細心の注意を払う
- C.チケットを受け取らず、透明性確保のために上長に共有する
- D.そのイベントを熱望していた知人がいたため、チケットを受け取って譲渡する
さて、これの正解はどれだろう?僕はわかったうえで自分で問題を作っているが、多くの人は特段悩みもせずに正解にたどり着けるだろう。
そう、正解は「C.チケットを受け取らず、透明性確保のために上長に共有する」である。
【不正解の解説】
- Aについて: 金額の多寡や上司の承認は関係ない。受け取った時点で「客観性の欠如」を疑われる余地が生まれるため
- Bについて: 精神的な注意力の問題ではない。利益を享受したという「外観」そのものが、監査の信頼性を失墜させる
- Dについて: 最終的な受益者が誰であれ「チケットを受け取った」という事実に変わりはない。それは不適切な影響を監査意見に及ぼしうる状態を意味する
驚くべきは、これが単なる民間の一専門資格における「当然の規範」だということだ。では、これよりも遥かに「公への奉仕」が求められる政治家という職業はどうだろうか。
政治の世界に足を踏み入れて驚いたことの一つに、この「客観性」に対する一般常識との著しい乖離がある。現在の政治家たちを見ていて、このレベルの客観性を維持しようと努めている候補者を、僕は一人も見たことがない(もし存在するのであれば、ぜひ教えてほしいものだ)。
いっそのこと、企業・団体献金を受け取っているのであれば「私は〇〇から献金を受けているので、その業界へ利益誘導します」と明言してくれた方が、よほど清々しい。そう思わずにはいられないほど、政治の世界の「常識」は歪んでいる。
2026年1月26日 河添ひろし